動物ずかん 〜ちょっと面白い動物の知識〜

「動物を知る、学ぶ、活かす」豆知識をお伝えします。

進化論のきっかけになったカメ - ガラパゴスゾウガメ

関東では桜も散り、段々夏っぽい気候になってきましたね!

さて、今回は「ガラパゴスゾウガメ」についてご紹介します。

 

ガラパゴスゾウガメは、ガラパゴス諸島固有の種で、 世界最大のリクガメです。

なんと最大甲長は130cm、体重は最大のもので400kgほどになると言われています。

ガラパゴス諸島は南米のエクアドルにある島です。

 

ゾウガメ種は脊椎動物の中で最も寿命が長いと言われ、

平均寿命は100歳を超えるほどです。

飼育下で175歳まで生きたという記録があります。


ガラパゴスゾウガメの身体能力についてご紹介しましょう。

 

歩く速度についてはカメの中で一番速く、時速3.3kmで歩くそうです。

ちなみにこの速さはゴキブリと同じ速さとのことです笑

 

次に、オスは交尾の際、「唸り声」を上げます。

そもそもカメは声を出すための器官である声帯を持っていない為、

基本的に「鳴く」という行動ができません。

 

では、ガラパゴスゾウガメの唸り声の正体は?

これは呼吸の際に起こる空気の摩擦で起こるそうです。

 

そして今回のタイトルにもあるテーマについてですが、

ガラパゴスゾウガメは、ダーウィンの進化論の発表に影響を与えた生物です。

 

ダーウィンは32歳の時、ガラパゴス諸島に探検の旅に出ました。

ガラパゴス諸島ダーウィンは今まで見たことのない様々な生物に出会い、

その中でも進化論に大きな影響を与えた生物が2種いましたが、

そのうちの1種がこのガラパゴスゾウガメでした。

 

ガラパゴスゾウガメの何が特徴的だったかというと、

このゾウガメが生息している島によって、甲羅の前縁の形が違いました。

草がたくさん生えている島に生息している場合は最初の写真のような通常の形(ドーム型)になっており、

草があまりなくて低木やサボテンを食べる必要がある島では、前縁が深くえぐれた形(くら型)になっていました。

 

これは生物が環境に応じて自らの形を変えていったことを示していました。

元々違う形のカメが外部から流入する可能性もありますが、

カメは空を飛べない為、カメが外部から複数回に渡って島に流入したとは考えにくいことでした。

 

当時は生物が形を変化させる(進化する)という常識はなかったので、衝撃的な発見だったと思われます。

 

最後に、ガラパゴスゾウガメは、

成体になると野生では天敵がいない種と言われていますが、

人間による捕獲(食用)や、人間が島に連れ込んだペットや家畜による、

卵の略奪、生息環境の破壊により絶滅危機に瀕しました。。。

今は保護により2万頭程度まで回復したようです。

 

さて、私はGWに沖縄に行ってまいります!

ということで次回は沖縄で見つけた生物をご紹介したいと思います!

ではまた!

幸運を呼ぶ虫 - ナナホシテントウ

先週、ナナホシテントウを見つけました。

ようやく虫が見られる季節になりましたね。

 

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テントウムシといえば、鮮やかな赤い色が特徴ですよね!

この赤い色は警告色を示していると言われています。

 

テントウムシを触ると黄色の臭いを放つ体液を出します。

この体液には「アルカノイド」という毒性の成分が含まれており、

鳥はこの成分を嫌います。

その為テントウムシは鳥に食べられることはほとんどありません。 

 

こんな特徴を持つテントウムシですが、

ご存知の方も多いと思いますがテントウムシは漢字で「天道虫」と書きます。

 

テントウムシは太陽=「お天道様」に向かって、上へと登っていく習性があり、

この習性から「天道虫」と名付けられたということです。

 

なお、太陽には「太陽神(天照大神」がいると考えられており、

その太陽神の元へ行くための天の道を教えてくれる虫と言われていて、神聖な扱いをされている虫です。

 

また、テントウムシは欧米でも神聖な虫として扱われています。


英名ではテントウムシを「Lady bird」と呼びますが、
欧米では「Lady」は 聖母マリアを表しており、テントウムシは「聖母マリアの化身」と言われるのです。

その為、例えばアメリカではテントウムシを殺すのは不吉なこととされます。

 

その他にも、テントウムシは多く「幸運を呼ぶ虫」というモチーフとなっています。

 

テントウムシは人間にとって益虫です。

テントウムシは「アブラムシ」や「カイガラムシ」を食べます。

これらは農業を営む人間が害虫とみなしているので、それらの害虫を食べてくれるテントウムシは大切な存在です。

 

このように人間にとってありがたい存在だった為、

各地で良いイメージの虫として定着したのではないでしょうか。

砂漠の船 - ラクダ

今回は「砂漠の船」と呼ばれる動物、ラクダについて紹介したいと思います。

 

インド西部、西アジア北アフリカ、オーストラリアと広く分布し、

全世界で1400万頭生息しているラクダのうち、90%がヒトコブラクダと言われています。(2010年時点)

ラクダ、といえば「コブ」が特徴の動物ですが、

これがどんな役割を果たしているか知っていますか?

 

みなさんご存知の通り、ラクダは主に砂漠など乾燥地帯に生息する動物ですが、

この砂漠生活に特化した、驚くべき能力をご紹介したいと思います。

 

ラクダのコブは大きく2つの役割を持っていると言われています。

 

1つ目の役割は栄養の貯蓄です。

砂漠は生物が生活しにくく、餌が少ない環境です。

ラクダはそれにコブという形で適応しました。

コブは主に脂肪からなり、食事が出来ない時はこの脂肪を栄養分として使うことができます。

その為、ラクダの栄養状態が良い時はコブが大きくなりますが、食べ物を食べない時間が長くなると段々と小さくなっていくのです!

 

2つ目は断熱材としての役割です。

砂漠は非常に強い陽が照りつける場所です。

汗をかかないラクダにとって、そのままでは体温が上昇し続けてしまいます。

そこで、背中に脂肪をコブとして背中1箇所に集中させました。

そうすることで日光による熱をコブで受け止めて遮るようにしたのです!

 

他にもラクダは砂漠生活に適応した能力をいくつも持っています。

二列になった長いまつげ&鼻の穴も自由に閉じることができる

 →砂漠に舞う砂やホコリを防ぐ

長い体毛

 →照りつける日光や夜の寒さを防ぐ

ひざや胸に「たこ」がある

 →固い地面に座るのに適している

足の裏に角質化したこぶがある

 →温度の上がった砂地を歩くのに適している(夏の海の熱い砂浜を歩いたことはありませんか?)

赤血球が細長い形をしている

 →体の水分が少なくなった時にも血管がつまりにくい形

1回に60〜100リットルもの水を飲むことができる

 →体に水分を蓄えることができる

体温を34度〜42度まで変化させることができる

 

 →外気温が高い時は体温を上げて水分の減少を防ぎ、低い時はエネルギー消費を抑える

 

と、このように様々な機能を持っています。

まさに砂漠生活に特化した動物なのです。

 

人との関わりといったところでは、特に乾燥地域での乗用利用です。

ラクダは、砂漠の隊商「キャラバン」の主役として数世紀に渡って利用されてきました。

 

最大300kgもの荷物を背負って移動できるそうです。

 

ところで、ラクダに乗ることに慣れていない人はしばしば「ラクダ酔い」するそうです。

 

これにはラクダの歩き方「側対歩」というものが関係しています。

側対歩とは、右前肢と右後肢、左前肢と左後肢がペアになって離陸、着地する歩き方です。

これに対して、私たち人間の歩き方は「斜対歩」と呼ばれます。

 

側対歩では左右のぶれが大きくなります。(これがラクダ酔いの原因です)

歩幅も稼げないのでスピードが出ませんが、その代わりにからだのひねりを使うことがなく、非常にエネルギー効率が良いのです。

ゾウ、キリンなど比較的大型動物がこの歩き方をすることが多いようです。

余談ですが、以上から江戸時代の日本人の「なんば歩き」は省エネな歩き方だと考えられます。

 

最後に、ラクダのミルクは牛乳よりもヘルシーで、高級なミルクとして販売されているようです。

牛に乳よりもしょっぱい感じらしいですが、チャンスがあれば試飲してみたらいかがでしょうか?

<春の鳥> 梅に集まる鳥は? - メジロ

桜も開花しました!

今週末は花見にちょうど良さそうですね!

ということで、「」にちなんだ動物を紹介したいと思います。

 

タイトルにある質問ですが、

春に見られる花「梅」に集まる鳥と言えばどんな鳥を想像しますか?

 

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写真の木は河津桜ですが、この鳥の姿をイメージした方もいるのではないでしょうか?

 

この鳥はウグ・・・

 

ではなく、メジロです。

 

目の部分が白い輪になっているのが特徴です。(メジロ=目白)

英語でも、 "White-eye" と、この特徴から命名されているんですね。

 

この鳥は、ウグイスとよく間違われます。

ことわざで「梅に鶯」(=調和が取れている様を表す言葉)があるので、

梅→鶯と連想してしまいますが、ウグイスは梅の蜜を吸わないので、

実際に梅の木に集まるのはメジロであることが多く、混同される所以のようです。

 

また「うぐいす色」についても、

メジロの色に近い緑色が連想されることが多いと思いますが、本物のウグイスの色は灰褐色です。

 

 

さて、このメジロですが少し悲しい話もあります。

 

メジロは非常に美しい鳴き声を持つ鳥でもあります。

そのような鳴き声を持つ為、「鳴き合わせ会」と呼ばれる、メジロの鳴き声を競い合うコンテストというものが行われています。

その勝負結果によって鳥には「横綱」「大関」といったランクがつけられ賞金が出ます。

 

鳴き合わせ会でランクの高い鳥は高額で売買されることがあります。

売買は闇市場で行われることもあり、ここで取引されるメジロは密漁によるものも多いようです。(鳴き合わせ会自体は違法ではありません)

現在は取り締まりも厳しくなり、特別な許可がない限り捕獲及び飼育は禁止されています。 

 

最後に、メジロ和歌山県大分県の「県鳥」に指定されています。

大分には、「めじろん」という2008年のおおいた国体のマスコットキャラクターがいます。

  

このめじろんですが、国体終了後は、大分県応援団"鳥"となっているようです。

 

以上、花見に行く際はこのメジロについても観察してみてはいかがでしょうか。

地下生活に特化した動物 - モグラ

今回は身近なようであまりその実態を知らない動物、モグラについてご紹介します。

 

「モグラ」の語源は諸説あるようですが、下記の2つの説明がよく聞かれます。

1. 「潜る」の音が変化して「もぐら」になった説。

2.  「うぐろもつ」= 土を盛り上げるという意味の動詞。

この名詞「うぐろもち」が、「うぐらもち」->「むぐらもち」->もちが省略「むぐら」->「もぐら」と言葉が変化した結果という説。

 

また、モグラは漢字で「土竜」と書きますが、なぜ竜なのか?

中国ではミミズのことを土竜と書きます。どちらも土の中で活動する生き物の名前なので、この漢字が誤って伝わったとも言われています。

 

モグラは日本の神話「記紀神話」で「オコロ」という名の神様として登場しています。

カグツチハニヤスメという神様の子なのですが、オコロ神はタツ(龍)に成れなかった出来損ないでした。

その後ニニキネという神様にオコロ守という宮を守る役目を賜り、人々の生活を守る自然神となったといいます。

 

神話においても「」との関連性が綴られていることから、漢字の由来とも何か繋がりがあるのかもしれませんね。

 

 

さて、このようなモグラですが、この動物は完全に地下生活に特化した動物なんです。

 

モグラは一生のほとんどを地下で生活します。

地下にはほとんど光が届かない為、目は退化してほとんど見えません

代わりに、嗅覚と聴覚が非常に優れています。

モグラが餌を探す時には匂いや音を使って探します。

嗅覚に特化しすぎてすごい鼻になってしまった、「ホシバナモグラ」なんてモグラもいます。

ホシバナモグラの驚異の鼻 | 日経サイエンス

 

また、地下での掘削作業に対応しています。

大きな手は体の外側を向いていて、鋭い爪を持っています。

さらに、地下トンネル内で前後に移動しやすいよう、体毛は垂直に生えており、柔らかくしなやかになっています。

このモグラの毛皮は光沢があって上質な為、コートなどに利用されてきました。

国外ではこれ目的の狩猟によって絶滅に瀕してしまったモグラもいるようです。

 

それと、モグラはとてもエネルギー消費が激しい動物なんです。

だからとにかく餌をたくさん食べ続けます。

ただの食いしん坊ということではなく、モグラにとっては切実な問題です。

胃の中に10数時間食べ物がないと死んでしまうのです。

なのでモグラは冬眠もせず、年中餌を探して食べ続けます。

 

ところで、公園や山などでこんなものを見たことはないでしょうか?

 

これはモグラ塚と呼ばれるものです。

 

ゲームやアニメなんかで、モグラはよくトンネルを掘りますよね?

だからガンガン土の中を掘り続けるイメージがあるかと思います。

だけど、新規のトンネルを掘るってとても重労働で、多くのエネルギーが必要なんですね。

なので、モグラは基本的には既存のトンネルを使い、掘削作業は改修や修復がメインです。

こういった作業をした際に出た土はトンネルの外に捨てられます。

これが積み上がって盛り上がったものがモグラ塚になります。

 

ちなみにモグラの狩りでは、トンネル自体が罠になっており、トンネルに誤って落ちたミミズや昆虫を得意の嗅覚で嗅ぎつけて食べます。

 

今後、モグラ塚を見つけたら、そこで生活するモグラを想像してみると面白いかもしれませんね。

ちなみに、モグラ塚を見つけてもトンネル自体は数100メートルになったりするので、トンネルの入り口を少し探してもモグラに出会えることはほとんどないようです。

 

以上、モグラのお話でした。

水陸両棲の危険な動物 - カバ

今回はアフリカ大陸に生息する大型草食性動物、カバについて紹介します。

 

体の大きさは陸上動物の中で2番目の大きさと言われています。

手足が短く、ブタみたいな体型ですが、遺伝学的にはウシに近いようです。

さらに、クジラとの遺伝関係が最も近い陸上生物とのことです。

 

さて、カバは陸上/水中の両方で生活をする動物で、

それぞれに適応する為の身体的特徴があります。

 

水中生活においては、4-5分の潜水が可能です。

水中ではカバは泳ぐのではなく、歩くように移動するんですね。

体の比重が水より大きく体が水に沈むため、水底を歩いて移動します。

浮かぶ時は空気で肺を膨らませます。

 

逆に水中生活に適応する為に乾燥や紫外線に弱いです。

その為、赤/ピンク色の粘液を体表から出すことで、

紫外線から皮膚を守っています。

これが「血の汗」とか呼ばれているものです。

 

 

こんな特徴を持つカバですが、

アフリカの地元の人たちには結構恐れられている動物なんです。

というのは、アフリカでは年間約3000人もの人がカバに襲われて死亡しているのです。

これは野生動物による被害で最も多い数字です。

 

旧約聖書で「ベヘモット」という名の悪魔が登場しますが、

これはカバの姿で描かれることが多いようです。

日本のゲームでも、「ベヒーモス」「ビヒモス」のような名前で敵キャラとしてよく登場しますね。

これは、カバが昔から人に恐れられていたということではないかと思います。

 

それにしても、アフリカにはライオンやワニといった猛獣はたくさんいるのに、

なぜカバによる被害がこんなに多いのでしょうか?

 

それはカバが非常に縄張り意識が強い動物だからです。

カバは縄張りに入ったものに対しては、

ライオンだろうとワニだろうと容赦なく襲いかかるのです。

 

カバは陸上では時速40-50kmもの速さで走れます。

100m10秒で走るオリンピック選手よりも速いです。

 

カバは下顎に50cmもの牙を持っています。

 

また顎の力が非常に強く、150度の角度で口を開くことができます。

こんな顎で噛みつかれたらひとたまりもありませんね。。

 

ちなみにカバは縄張りのマーキングの為に、

糞を撒き散らす「撒き糞」という行為をします。

犬や猫は尿でマーキングしますが、なぜ糞なのでしょうか?

 

それは、水中生活において液体の尿は流れてしまうので、

水中でも流れず匂いが残る糞を残しているのですね。

 

 

日本でもクマによる被害はニュースで出たりしますが、

野生生物の縄張りに入ることの危険性は知っておいた方が良さそうです。

 

以上、カバのお話でした。

かつて妖怪と言われたイタチ - カワウソ

動物園などで人気者のイタチ科の動物、カワウソ

 

可愛らしいカワウソくんですが、

昔は妖怪とされて嫌われていました。

 

かつて日本ではタヌキ、キツネと同様に、

人を化かす動物とされて怖がられていたんですね。

 

鳥山石燕(せきえん)の妖怪画集「画図百鬼夜行」の「獺(かわうそ)」にも、

妖怪として登場しています。

 

また、カワウソが河童の正体という話も多くあるようです。

よくオカルト番組なんかで紹介されたりするような、

河童のミイラの手は、カワウソの手だったということもあるみたいですね。

 

カワウソは川魚を食料とする為、

世界的に人間から害獣とみなされていた経緯もあり、

悪い印象を持たれていたのかもしれませんね。

 

ちなみに、残念ながら現在日本で野生のカワウソは見られません。

かつて日本に生息していたニホンカワウソは、

水中での保温性が高い良質な毛皮を持っていたので、

それ目当ての乱獲が行われてしまいました。

そのほか、開発などによる生息域の減少などが原因で絶滅してしまったようです。 

 

 

ところでカワウソはとても賢くて器用な動物なので、

人間が芸を仕込んだりすることもできるんです。

 

アジア地域では、カワウソに魚やエビなどを網に追い込ませて漁を行う、

カワウソ漁というものが伝統的に行われていたそうです。

今でもバングラディシュでこのカワウソ漁が続けられています。

 

また余談ですが、

人気の日本酒「獺祭(だっさい)」の言葉の由来は、
獺(かわうそ)が捕らえた魚を岸に並べて、

まるで祭りをするようにみえるところからだそうです。

 

以上、今回はカワウソのお話でした。