地下生活に特化した動物 - モグラ
今回は身近なようであまりその実態を知らない動物、モグラについてご紹介します。
「モグラ」の語源は諸説あるようですが、下記の2つの説明がよく聞かれます。
1. 「潜る」の音が変化して「もぐら」になった説。
2. 「うぐろもつ」= 土を盛り上げるという意味の動詞。
この名詞「うぐろもち」が、「うぐらもち」->「むぐらもち」->もちが省略「むぐら」->「もぐら」と言葉が変化した結果という説。
また、モグラは漢字で「土竜」と書きますが、なぜ竜なのか?
中国ではミミズのことを土竜と書きます。どちらも土の中で活動する生き物の名前なので、この漢字が誤って伝わったとも言われています。
モグラは日本の神話「記紀神話」で「オコロ」という名の神様として登場しています。
カグツチとハニヤスメという神様の子なのですが、オコロ神はタツ(龍)に成れなかった出来損ないでした。
その後ニニキネという神様にオコロ守という宮を守る役目を賜り、人々の生活を守る自然神となったといいます。
神話においても「龍」との関連性が綴られていることから、漢字の由来とも何か繋がりがあるのかもしれませんね。
さて、このようなモグラですが、この動物は完全に地下生活に特化した動物なんです。
モグラは一生のほとんどを地下で生活します。
地下にはほとんど光が届かない為、目は退化してほとんど見えません。
代わりに、嗅覚と聴覚が非常に優れています。
モグラが餌を探す時には匂いや音を使って探します。
嗅覚に特化しすぎてすごい鼻になってしまった、「ホシバナモグラ」なんてモグラもいます。
また、地下での掘削作業に対応しています。
大きな手は体の外側を向いていて、鋭い爪を持っています。
さらに、地下トンネル内で前後に移動しやすいよう、体毛は垂直に生えており、柔らかくしなやかになっています。
このモグラの毛皮は光沢があって上質な為、コートなどに利用されてきました。
国外ではこれ目的の狩猟によって絶滅に瀕してしまったモグラもいるようです。
それと、モグラはとてもエネルギー消費が激しい動物なんです。
だからとにかく餌をたくさん食べ続けます。
ただの食いしん坊ということではなく、モグラにとっては切実な問題です。
胃の中に10数時間食べ物がないと死んでしまうのです。
なのでモグラは冬眠もせず、年中餌を探して食べ続けます。
ところで、公園や山などでこんなものを見たことはないでしょうか?
これはモグラ塚と呼ばれるものです。
ゲームやアニメなんかで、モグラはよくトンネルを掘りますよね?
だからガンガン土の中を掘り続けるイメージがあるかと思います。
だけど、新規のトンネルを掘るってとても重労働で、多くのエネルギーが必要なんですね。
なので、モグラは基本的には既存のトンネルを使い、掘削作業は改修や修復がメインです。
こういった作業をした際に出た土はトンネルの外に捨てられます。
これが積み上がって盛り上がったものがモグラ塚になります。
ちなみにモグラの狩りでは、トンネル自体が罠になっており、トンネルに誤って落ちたミミズや昆虫を得意の嗅覚で嗅ぎつけて食べます。
今後、モグラ塚を見つけたら、そこで生活するモグラを想像してみると面白いかもしれませんね。
ちなみに、モグラ塚を見つけてもトンネル自体は数100メートルになったりするので、トンネルの入り口を少し探してもモグラに出会えることはほとんどないようです。
以上、モグラのお話でした。